シリーズ最新医学講座・Ⅱ 臨床検査用に開発された分析法および試薬・10
分離分別測定からリガンド測定へ(薬物分析,HbA1cなど)
石橋 みどり
1
Midori ISHIBASHI
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
キーワード:
分離分別測定
,
リガンド測定
,
薬物濃度
,
ヘモグロビンA1c
Keyword:
分離分別測定
,
リガンド測定
,
薬物濃度
,
ヘモグロビンA1c
pp.1173-1181
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101731
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はじめに
臨床検査としての成分分析は,血清や尿など極めて複雑な生体試料を用いるため,一般の化学分析とは大きく異なっている.それゆえ,当初多くの検査項目は分析にあたり,分離抽出などの前処理を必須とした.
臨床検査は分析分野の中でも最も応用開発が進んでおり,用手法による工程の自動化に始まり,全自動測定やシステム化などが定着している.この発展の過程で基本となる分離分別法とリガンド反応の測定原理を利用する共存分析法が開発されてきた.測定原理は前者が測定対象の物理化学的性質,後者は主に生物学的性質を利用している.
分離分別法はまず測定分子の分子量や荷電を利用したゲルろ過法,クロマトグラフィー法および電気泳動法などである.生体のもつ分子間の特異的識別能力,リガンド反応の代表は免疫反応やホルモン/レセプターなどであるが,特に検査に必須の免疫学的測定は多様な成分を含む複雑な血清試料からターゲットの薬物や蛋白質を特異的に測定できる.特に免疫測定は1975年にKöhlerら1)によるモノクローナル抗体の技術が実用化されたため,飛躍的な進歩を遂げた.
本稿では臨床検査における分離分別測定からリガンド測定への変遷について,薬物とヘモグロビンA1c(HbA1c)の測定を例に述べてみたい.
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