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非糖尿病女性における高グルコース濃度はエピソード記憶と関係する
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
キーワード:
エピソード記憶
,
意味記憶
,
血糖値
Keyword:
エピソード記憶
,
意味記憶
,
血糖値
pp.648
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101635
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2型糖尿病と種々のタイプの認識障害との関係は十分に確立されているが,その背後のメカニズムはまだ明らかにされていない.実験研究では,グルコース調節の低下と認識テスト成績の低下との関係が示されている.著者らは血漿グルコースがすでに非糖尿病者においてエピソード記憶および意味記憶の低下と関係するという仮説について研究した.研究では,35~85歳の対象者に対するエピソード記憶および意味記憶を含む認識機能に関する調査研究データと,40,50,60歳の血漿グルコースの空腹時および2時間値,糖尿病および冠状動脈疾患の危険因子に関する調査研究データを組み合わせた.女性は男性よりも良好にエピソード記憶および意味記憶を保っていた.多変量回帰モデルでは,血漿グルコースの空腹時および2時間値は女性では意味記憶と負相関しており,この相関は男性にはなかった.また,この関係は意味記憶には認められなかった.このように,血漿グルコース濃度の増加は女性では意味記憶の障害と関係し,このことは血漿グルコース濃度の増加により引き起こされる海馬への負効果により説明できると考えられた.
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