今月の主題 アルツハイマー病の最近の進歩
トピックス
PETを用いた脳内アセチルコリンエステラーゼ活性測定によるアルツハイマー病の診断
黄田 常嘉
1,2
,
新井 平伊
1
,
入江 俊章
2
Tsuneyoshi OTA
1,2
,
Heii ARAI
1
,
Toshiaki IRIE
2
1順天堂大学医学部精神医学教室
2放射線医学総合研究所分子認識研究グループ
キーワード:
アルツハイマー病
,
アセチルコリンエステラーゼ
,
PET
Keyword:
アルツハイマー病
,
アセチルコリンエステラーゼ
,
PET
pp.337-341
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101558
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1.はじめに
アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)はアミロイドβ蛋白の沈着,神経原線維変化,および神経細胞死を特徴とする進行性の神経変性疾患である.患者死後脳では,比較的早期から大脳皮質や海馬のコリン作動性神経の脱落が認められ,記憶や認知障害,異常行動の原因と考えられている.神経化学的にはコリン神経系マーカー酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼ(choline acetyltransferase;ChAT)とアセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase;AChE)の著しい活性低下により特徴付けられる.十余年前にアセチルコリン類似体であるメチルピペリジル誘導体が開発され,PET(positron emission tomography)による脳内AChE活性の測定が可能となった1,2).現在はN-[11C]methylpiperidin-4-yl acetate([11C]MP4A/AMP)とN-[11C]methylpiperidin-4-yl propionate([11C]MP4P/PMP)の二種類のトレーサーが実用化されている.本稿では[11C]MP4Aを中心にその方法論ならびにADにおける知見について概括したい.
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