特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
1) 悪性腫瘍 (2)癌化学療法のための遺伝子検査
藤田 健一
1
,
佐々木 康綱
1
Ken-ichi FUJITA
1
,
Yasutsuna SASAKI
1
1埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター臨床腫瘍科 腫瘍内科
キーワード:
pharmacogenetics
,
pharmacokinetics
,
pharmacodynamics
Keyword:
pharmacogenetics
,
pharmacokinetics
,
pharmacodynamics
pp.1361-1367
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
抗癌剤による癌化学療法においては,薬効や薬物有害反応における大きな個体差がしばしばみられるが,その原因は必ずしも解明されていない.したがって,抗癌剤を用いた化学療法により恩恵を享受する患者また重篤な薬物有害反応のリスクが高い患者を同定することは一般に難しい.
臨床薬理学的な研究によれば,薬剤に対する応答は薬物動態と薬力によって決まる.薬剤応答の個体差は,薬物動態と薬力に影響を与える要因の遺伝子などの先天的な差異,あるいは環境的・外的ないわゆる後天的な違いに起因して起こる.ある抗癌剤の薬効や毒性と遺伝子多型との関連が明らかになった場合,薬剤投与前の遺伝子診断は,抗癌剤の個別化医療において強力な武器になりうる.すなわち,患者の選択,薬剤の選択および投与量の調整を可能にする方法論を提供する.抗癌剤の使用にあたっては,遺伝子診断の意義についても十分な知識を持つことが望ましい.
本稿では抗癌剤の薬物動態や薬力に関連する因子における遺伝子診断について紹介する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.