追悼 故 堀尾武一先生
堀尾武一先生に研究の基本を教えていただいた
小川 善資
1
1北里大学衛生学部臨床化学
pp.815
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101099
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初めて堀尾武一教授にお目にかかったのは検査技師として大阪大学医学部付属病院に非常勤職員として勤務して2年目のことでした.GOT(AST)の標準化を行うため,単位の基準をモル吸光係数に求め,活性測定値は,Karmen法をベースに改良を行うことと決めていました.これを実現させるため,上司である林 長蔵助教授は「装置定数は基礎工学部南教授」に,「GOTのことは医学部和田教授」に,「共役酵素反応に関することは堀尾教授」に勉強に行きなさいと命令されました.
同じ大学に勤務するといっても,天と地ほど身分に開きのある方に,面会に行ったわけですから,いかほど緊張していたか想像していただけると思います.その私に対して,堀尾教授はいきなり,「聞いてるで,ちょうど,同じような仕事をしてんねん,いい機会や,一緒にやろうや」とべたべたの関西弁で優しく声をかけていただきました.この言葉を聞いただけで今日訪問した仕事は終了した.とほっとしたとたんに「何から,どないして,やっていくつもりやねん」と,すぐさま実質論に.「わかった,試案を作ってみよ」と簡単に引き受けていただき,GOT活性測定法のいわゆる,堀尾試案が誕生したわけです.その後も,困った問題が生じると,堀尾先生を訪ねて相談すると「わかった,やってみよ」とすぐに引き受け,解決して下さいました.
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