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Q
胃炎,胃潰瘍の診断には従来からX線検査,内視鏡検査(病理組織)などがあります.通常はX線検査を実施した後に内視鏡検査を行いますが,X線検査は単にスクリーニング検査との位置付けなのでしょうか.内視鏡検査を用いれば,X線検査は必要ないのか,また,内視鏡検査でわからないものが,X線検査でわかるということもあるのでしょうか.
内視視鏡検査とX線検査の長所,短所も含めてご教示下さい.(宮域県・M生)
A
1.胃X線検査と胃内視鏡検査の現況
胃X線検査と胃内視鏡検査における画像診断は,これまで,双方の長所,短所を補い合い,進歩して来たもので1),どちらか一方がもう一方の補助検査というわけではない.しかし近年,組織生検や内視鏡的粘膜切除術,出血に対する内視鏡的止血術などの施行目的も含め,内視鏡検査の普及は著しく,内視鏡優位の立場をとる施設は明らかに増えており,時代の趨勢とも考えられる.
X線検査で異常を指摘されると内視鏡検査を受けなければいけないということは一般的に常識的なことと受けとめられているが,なぜそうしなければいけないのかについての具体的解説はなされていないように思う.現在行われているX線検査の大半は,集団検診や人間ドッグにおける間接撮影である.間接撮影はできあがったフィルムが小さいこともあって,画像としては直接撮影に比べてやや劣ると考えられており,間接撮影で異常が疑われれば,要精密検査となる.もちろんこの場合の異常とは,単に慢性胃炎があるだけではなく,それ以外の所見,例えば,潰瘍性病変や悪性所見などがあるかまたは疑われる場合ということになろう.ただ,検診での要精検率は10~20%といわれており,検診を受けたほとんどの人はX線検査だけで終了ということになる.ところで,集検やドッグの間接撮影で要精検といわれ病院を受診した人に対し,「直接撮影でもう一度X線検査をやりましょう」という施設がどのくらいあるかということである.ほとんどの施設では,受診者へ「それでは内視鏡で精密検査をしてみましょう」というのではないかと思われるし,また,受診者も,「精査のためもう一度X線検査を受けて下さい」といわれたら,「え,またバリウムを飲むんですか」というだろう.つまり,現在の通例では,X線検査で異常を指摘されたら,次は内視鏡検査というのが一般的となっている.また,二次検診ではなく,自覚症状などのため受診した場合,まずX線検査を施行し異常があれば内視鏡検査を施行する施設もあるが,はじめから内視鏡検査を施行する施設が増えているものと思われる.X線検査で存在診断を施行し,質的診断は内視鏡でという考え方があるのかもしれないが,なぜ最終的に内視鏡検査を施行しなければならないのか,X線検査だけでは診断できないのかについて次項以降で述べたい.
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