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昭和36(1961)年に国民皆保険制度が実施されてから以降の国民医療費(以後は医療費と略する)は経年的に上昇の一途をたどっている.昭和60(1985)年を起点に平成11(1999)年まで約5%の上昇率であり,この医療費の高騰は老人医療費の上昇が大きな要因になっているところから,政府は昭和57(1982)年に経済が低成長に入ったため,医療費抑制への対策として老人保健法を創設し対応した.しかし平成6(1994)年に先進国では類をみない速さで高齢社会(高齢化率14%)に入り,2025(平成37)年には高齢化のピークを迎えるとされる.このような本格的高齢社会に向けて,高齢者医療への対策は急務とされている.また,医療費抑制政策の煽りを受けて介護保険法が平成12(2000)年4月に施行された.その効果は平成11(1999)年の医療費30兆337億円から平成12(2000)年は30兆3,583億円となり5,754億円が抑制されたことになったが,平成13(2001)年は再び31兆3,234億円となり3.2%増になっている.平成14(2002)年には31兆1,240億円と前年に比較して0.6%節減になっているが,とりわけ,医療保険の財政赤字は深刻である.
この膨大な医療費に対する抑制政策として厚生労働省は病気にならないようにして医療費を抑制するために,平成12(2000)年3月に21世紀における国民の健康づくりのため「健康日本21」を打ち出した.その内容は健康寿命の延伸などを実現するために,平成22(2010)年を目途とした具体的な目標などを提示することなどにより,健康に関連するすべての関係機関・団体等を始めとして,国民が一体となった健康づくり運動を総合的かつ効果的に推進し,国民各層の自由な意思決定に基づく健康づくりに関する意識の向上および取組を促そうということである.
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