今月の主題 輸血・細胞療法と臨床検査
巻頭言
“血液新法”と輸血医療の今後
半田 誠
1
Makoto HANDA
1
1慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法部
pp.1075-1076
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100560
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2003年7月末,輸血医療の根本にかかわる2つの法律(血液新法)が施行された.1つは薬事法(改定薬事法)で,もう1つが血液法(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律)である.いずれも従来の法律を改定したものであるが,特に後者では輸血に関する根本的な考え方が示され,わが国の輸血医療の今後に大きな影響力を及ぼすことになった.
改定薬事法では,血液製剤などの感染症伝播のリスクがあるものを特定生物由来製品と定義して,感染症などの副作用発生に対応した報告事項や安全措置要件が新たに規定された.一方,血液法では,血液製剤について安定的供給を確保するとともに,いっそうの安全性向上を図るため,従来の「採血及び供血あっせん業取締法」を大幅に改定し,国民の保健衛生の向上のための基本理念として,血液製剤の安全性の向上,安定供給の確保(献血による国内自給の原則),適正使用の推進,血液事業運営に係る公正の確保と透明性の向上の4つが基本骨子として掲げられた.そして,その基本理念を遂行するための,血液製剤の採取から製造,使用に至る関係者(日本赤十字社,製造業者,医療機関)やそれを指導・監督する行政側(国,地方公共団体)の責務が明確化された.すなわち,これら血液新法の成立により,われわれ医療機関においては,輸血管理体制を整えたうえで,安全かつ適正な輸血療法を行う義務が付加されたことになる.
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