今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・17
囊胞を形成する甲状腺乳頭癌の超音波像
中山 雄司
1,2
Yuji NAKAYAMA
1,2
1中山内科医院
2自治医科大学臨床検査医学
pp.468-469
発行日 2005年5月15日
Published Date 2005/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100221
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超音波検査は甲状腺疾患の診断に欠かせないmodalityである.いままで触診では診断できなかった小結節性病変も7.5MHz以上の高周波超音波検査を用いることにより検出が可能となっている.結節の多くは良性であるが,ときに甲状腺癌が見つかることがあり注意が必要である.甲状腺癌の中でも,80~90%を占める乳頭癌は不整形で辺縁粗雑な低エコー腫瘤として描出され,内部に微細石灰化が見られる(図1).また腫瘍の性質上,囊胞を形成することも知られている(ここでは囊胞形成性乳頭癌と呼ぶ).今回は症例を提示しながら,囊胞形成性乳頭癌について超音波検査で注意すべき点を挙げてみる.
自治医科大学臨床検査部超音波室において,2003年と2004年の2年間に穿刺吸引細胞診で診断した甲状腺乳頭癌症例77例のうち,8例(10.3%)で囊胞形成が見られた.8症例中3例において腫瘍の辺縁部に囊胞性変化が認められた(図2).残りの5例では囊胞内部に突出する充実性部分を認めた(図3).充実部は乳頭状に突出し,その表面は不整であり内部に微細石灰化を見ることが多かった(図4).さらに外側から充実性腫瘍が囊胞性病変内部へと連続しているような場合の多くは悪性と考えたほうが良いと思われた.なおカラードプラ法で充実部を観察すると,内部に血流シグナルを認めた(図5).
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