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第16回日本臨床微生物学会は,2005年2月4日午後から6日まで3日間にわたり京都国際会議場において開催されました.本学会は一山智会長(京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学),立脇健一副会長(滋賀医科大学医学部附属病院検査部),田中美智男事務局長(京都大学医学部附属病院中央検査部)を中心に,関西地区の感染症関連医と微生物検査技師が中心となって企画運営されたものです.期間中には小雪の舞うシーンも見られましたが,5日は早朝8時にスタートするモーニングセミナーから熱気にあふれ,参加者数は過去最高の1,500名に達しました.
会長は「高度先進医療-それを支える微生物検査」というテーマで,無駄な検査を減らし,有意義な検査を増やすことの必要性を講演されました.特別講演では,京都大学移植チームのリーダーとして活躍されている田中紘一先生(京都大学移植外科教授,京都大学病院院長)が「肝移植と感染制御」と題して,免疫抑制療法とともに感染症に対する総合的戦略が臓器移植の成績向上に重要であることを強調されました.京都大学病院は,肝臓移植が行われるわが国では数少ない病院の1つです.肝臓移植は,手術術式の開発や周術期管理の工夫により著しく成績が向上し,現在死亡や合併症に最も影響するのは感染症となっているそうです.そのため,免疫抑制に伴う感染制御に多大なエネルギーが注がれ,高度なチーム医療が実施されている様子が示されました.また,西村周三先生(京都大学大学院経済学研究科教授)は「感染症検査と医療経済」として,診療報酬における感染症対策の対応や現行の診療報酬制度が抱えている矛盾点を解析されました.現在特定機能病院を中心に導入されているDPC制度は,2006年からは一般の病院においても導入されます.西村先生は病院経営において「急激な変化はなく,緩やかなペースでDPCが進む」と解析されていましたが,すでに旧国立病院を始めとする病院検査の外注化は加速しており,対策が必要な局面を迎えているような気がしました.
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