今月の主題 腎疾患と臨床検査
巻頭言
腎疾患における臨床検査の重要性
飯野 靖彦
1
Yasuhiko IINO
1
1日本医科大学付属病院内科学
pp.483-484
発行日 2006年5月15日
Published Date 2006/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100082
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末期慢性腎不全に陥り,透析療法を必要とする患者数は2004年12月現在,248,166人であり,これは日本の約500人に1人が透析患者であることを意味する1)(表1).また,日本の透析患者の特徴は,透析導入年齢の高齢化(65.8歳)と透析導入の原疾患頻度(糖尿病性腎症(41.3%))である.つまり,年々,透析患者の高齢化が起こっており,そのため透析患者の検査も高齢者に多い心疾患,脳血管疾患,骨疾患,癌,呼吸器疾患の評価に重点が置かれる.また,導入原疾患の最も多い原因は糖尿病による糖尿病性腎症であり,糖尿病に合併する微小血管障害(網膜,神経,腎)と大血管障害(心疾患,脳血管疾患,動脈疾患)などの検査も重要になる.
透析を必要とする前の保存期腎不全(現在では慢性腎臓病―Chronic Kidney Diseaseと保存期と透析期も含めまとめて表現し2),GFRによって分類する―表2)においても原疾患となる糖尿病,慢性糸球体腎炎,高血圧,多発性のう胞腎,血管炎などの診断,治療,予後判定の検査が必要となる.
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