事例 医療施設間連携
活気づく「高齢者ケア・ネットワーク」—松原市からの報告
岡本 祐三
1,2
Yuzo OKAMOTO
1,2
1阪南中央病院内科
2阪南中央病院健康管理部在宅ケア課
pp.703-707
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903688
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
松原市は大阪府下の衛星都市で,総人口13万6,000人,市域は東西5.8×南北5.2km.高齢化率は9,0パーセントと,全国平均あるいは府下平均よりも低く,人口学的にはまだ成熟していない都市である.しかし「寝たきり老人」は全市で240人を越え,高齢者問題は年々深刻の度を増している.もともとは農業地帯であったが,1950年代頃から高度経済成長とともに,地方から大阪へ働きに出てきた人々のベッドルーム・タウンとなった.これという名所旧跡は勿論,めぼしい企業とて数少なく,市民の平均所得も低く,当然税収も乏しい.下水化率も府下最低レベルと,一言でいえば,典型的な貧しい大都市近郊の衛生都市としての特徴を全て備えている.
しかしこの市域が全国的に誇れるもののひとつが,高齢者の医療福祉ネット・ワークである.この地域ケアシステムは,1970年代から,「阪南中央病院」(312床,「健康管理部・在宅ケア課」あり),「大阪府松原保健所」,「松原市社会福祉協議会」(以下「社協」と略),「特別養護老人ホーム」(大阪老人ホーム・新生苑,計180床—以下「特養」と略),[松原市福祉担当課」「松原デイケアセンター」(図)が,力を出し合って営々として作りあげてきたものだ.そして近年では,この連携システムが市の正式機構として認知され運営されるまでに至ったのである.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.