IT革命は病院医療をどう変えるか・15(最終回)
革命は病院医療をどう変えるか
山本 晧二
1
1三重大学医学部医療情報部
pp.992-995
発行日 2002年12月1日
Published Date 2002/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903669
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IT革命の意味
少し色あせてきた感があるが,最近,IT (Information Technology)革命(情報技術革命)という言葉をよく耳にする.ホームページで検索すると実にたくさんの人がいろいろなことを書いている.しかし,それが何を意味するのか判然としない.元々,情報技術そのものは連続的に発展してきており,突然に革命的な何かが起こったわけではない.かつてイギリスで興った産業革命では,蒸気機関という新しいエネルギーを手にした人間が,綿紡績産業にそれを応用して漠大な利益を得たが,このことが産業構造を変え,革命と呼ばれるようになったといわれている.情報技術革命も構造的にはこれと同じである.情報技術の発展に伴って今まで困難であった何かができる.そしてそのことを利用して人間にとって莫大な利益を生む何かが生まれ,社会が変わるならば,それを生み出した情報技術は革命と呼ぶに相応しいであろう.つまり,情報技術が飛躍的に発達してもそれが社会を変えるほどのものでなければ革命とはいえない.
このような観点から強いていうならば,情報技術革命とは,インターネットの爆発的普及ならびに高速・大容量通信が可能となったことにより,広大な情報空間をわれわれが手にしたことを意味するのかもしれない.実際,社会のあらゆる面でグローバル化が進み,医療を取り巻く環境も大きく変わってきている.そして,2001年度の情報通信白書でもIT革命を情報通信技術革命と意訳している.しかし,社会に漠大な利益をもたらすという観点から考えるとまだ何か物足りない.
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