特別寄稿
へき地医療支援機構と今後のへき地医療対策
吉新 通康
1
1社団法人地域医療振興協会,自治医科大学,地域医療学
pp.49-54
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903176
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わが国におけるへき地医療対策の流れ
過疎対策法,離島振興法,山村振興法などの法律の適応される地域を一般的に「へき地」と呼ぶ.「へき地」は差別用語だとして,「地域」と呼ぶような向きもあるが,やはり「へき地」のほうがわかりやすい.日本には数多くの島々,そして急峻な山々が多い,これらの作り出す厳しい地形で地域が数多く分断され,集落が散在している.一方,急速な工業化により,これらの集落から若者が流出し,高齢化,過疎化が進行し,バスの便数が減り買い物や医療で不便を強いられ,さらに人口減が進むと,ますますへき地となる.
わが国は国民皆保険制度で,自由開業制,出来高払いが特徴である.1,000名を割るような人口で,少子高齢化が進んでいて,受け持ち範囲が広く,しかも交通が不便な「へき地」では,事業リスクが高く,開業する医師はまずいない.一方,皆保険という医療制度上,サービスを受けられる体制を整備する必要があり,都市部に医師や医療機関が集中する中,市町村は山間へき地離島にも保健医療機関を設置する.が,医師たちはあまり行きたがらない.へき地の生活の不便さ,教育,文化施設などいろいろと不便だということもある.
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