連載 院内感染対策・1【新連載】
聖路加国際病院における院内感染管理システム—病院管理者の立場から
松井 征男
1
1聖路加国際病院
pp.688-691
発行日 1999年7月1日
Published Date 1999/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902761
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院内感染防止には,流水による手洗いが最も有効な手段であるのみならず,最も簡単で経済的な手段である.これに加えて抗菌薬の適正使用が極めて重要である.この認識のもとに,当院では職員の教育をはじめとする院内感染防止対策をとってきている.まず本稿の理解のために,院内感染防止に関連する事項を中心に当院の概略を簡単に述べたい.
当院は1902年に創立され,1992年(平成4年)に520床の全室個室の新病院となつた.各病棟(通常35病室)は基本的に三角形で,その各頂点に当たる3か所には流水による通常の手洗い用のシンクがあり,液体石鹸,速乾式の手洗い用消毒液,使い捨てのペーパータールが配備されている(図1).各病室は洗面所,トイレ,シャワーを備え,この洗面所にもペーパータオルと液体石鹸を配備し,患者の状況に応じて速乾性消毒液も配備している(写真2).院内感染対策として各病棟にいわゆる陰圧室(室内の空気が室外に漏れ出ない程度の陰圧で,肌で感ずるほどの陰圧はない)を3室ずつ設けている.
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