特集 病院組織と意思決定—コーポレイトガバナンスとは何か
当院では組織と意思決定をこうしている—組織文化が組織の意思を決定する
石谷 邦彦
1
1医療法人東札幌病院
pp.242-243
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902649
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ある意思の決定は,その人あるいはその組織の辿ってきた文脈(con-text)に沿ってなされている.個人にとってそれは人生であり,組織と考えればそれは組織文化といわれるものであろう.その時々の意思決定とその結果の集積が人生であるように,組織もまたその時々の意思決定と結果の集積が組織文化を創ってきた(ここでの文化は精神文化,行動文化,物質文化を一括する).これまでの文脈,すなわちあらゆる意味での歴史的認識・価値観が未来を想定したところでその時の意思が決定される.そしてそれは結局,両者とも「生きることの意味は何か?」の問いに代表されるような哲学的連鎖の中に身を置くことになる.
われわれの病院は1983年癌専門の民間病院として創設され,QOL(quality of life)の研究とホスピス・ケアを行う病院として現在では全国的にも多少知られる存在となっている(表1).その歴史,概要などについてはわれわれの論文1,2)を参照されたい.そこでも強調したように,当初から「経営」とは「組織化のプロセス(=意味あるいは価値創造のプロセス)」であることを認識し実践してきた.現代社会にあって企業をはじめとする諸組織は,単に環境の変化に適応する主体であるだけでなく,自らもそうした変化を生み出す社会的行為主体として行動し,他の組織の行動に影響を与えるという意味で他の組織の「環境」を構成している.
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