講座 「修正病院会計準則」について・14
貸借対照表原則(つづき)
針谷 達志
1
Satoshi HARIGAI
1
1厚生省病院管理研究所
pp.418-419
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208305
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引当金
この講座の第9回で,適正な期間利益を計算するために,費用または損失の引当ての処理が必要であると述べた.すなわち,①将来の特定の費用または損失であって,②その発生が当期以前の事象に起因し,③発生の可能性が高く,④その金額を合理的に見積ることができるという4つの条件を満たす場合に,当期の負担に属する金額を当期の費用(または損失)として計上することを「費用(または損失)の引当て」と言い,この場合にその相手科目(一種の見積負債またはマイナス資産項目)として引当金が設定されるわけである(注解注19参照).
引当金を設定する主旨は,上に示したように正しい期間利益の決定にある.上記4条件の中の「当期の事象に起因し」という表現は,そこから生ずる費用(または損失)は当期の収益に対応すべき当期の費用であるという認識の根拠を示している.当期(当年度)の事象とは,当年度に診療をしたとか,医薬品や診療材料を使用したとか,あるいは債務の保証をしたとか,訴訟の判決が確定したとか,台風で建物が損壊したというような事柄をさしている.
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