講座 「修正病院会計準則」について・15
貸借対照表原則(つづき)
針谷 達志
1
Satoshi HARIGAI
1
1厚生省病院管理研究所
pp.506-507
発行日 1984年6月1日
Published Date 1984/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208329
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資産の貸借対照表価額
貸借対照表に記載する資産の価額を決定すること,すなわち資産の評価は,その期間の利益や損失の計算と密接な関連をもっている.
たとえば,医薬品の期首たな卸高が100万円,期中購入高が2,000万円で,期末たな卸高が200万円とすれば,年間医薬品費は1,900万円と計算されるが,もし,期末たな卸高が300万円と評価されれば年間医薬品費は1,800万円となる.明らかに,利益は前者の場合が小さく,後者では大きく計算される.また,建物や器械・備品などについて減価償却費を過大に計算すれば資産の期末価額は小となり,逆に減価償却費を過小に見積れば期末資産価額は過大に評価されることになる.こうした例で明らかなように,期末の貸借対照表に記載される資産の価額が過小に評価されれば,利益も小さく表示され,逆に資産が過大に評価されれば,利益も過大に表示されることになる.資産の適正な評価は,経営成績や財政状態の適正な表示にとって基本的な要件である.
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