主張
医療保険改革における期待と現実
Y
pp.113
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902324
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医療保険体系の抜本改革が話題となっている.そのなかで診療報酬体系については,これまでも古くは「人」と「もの」との分離,あるいはhospital fee と doctor feeとの分離の必要性が提言されてきた.しかしながら,出来高払いのもとでは価格を統制することによってしか医療費を抑制する方法はなく,価格を抑制すれば「人」部分についてはコストを圧縮できないので,コスト割れとなる.一方,「もの」部分についてはコストを圧縮できるので,利益が出る構造が依然として続く.したがって,出来高払いを続ける限り,「人」部分を充実させるのは構造的に難しいといえよう.
一方,hospital fee と doctor feeの分離については,幻のように出現しては消える構想であるが,そもそも日本のように医師の3分の2が病院に雇用されている状況下では現実的でないといえよう.このようなhospital fee と doctor feeとの分離があるのは,アメリカのようなオープン病院の形態をとっているごく一部の国々に限られており,ヨーロッパのほとんどの国では採用していない.また,アメリカにおいてもマネージドケアの圧力によりしだいに縮小の方向にある.したがって,アメリカをモデルとするhospital feeとdoctor feeについては検討の対象とすべきでないと考える.
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