病院管理フォーラム 広がる病院患者用図書館・9
患者図書サービス—8年の経験から
嶋 大二郎
1,2
1市立砺波総合病院小児科部
2市立砺波総合病院図書
pp.1132-1133
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902289
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サービス開始の経緯
入院の主目的は病気との闘いであるが,しかし現実には「(検査も治療も)何もしていない時間」との闘いも入院中の患者さんにとっては大きな問題である.現代では,ラジカセやベッドごとのテレビなどある程度ひまつぶしとしての手段はあるが,十分な知的満足を得られるものではない.社会生活から隔絶され,病気をみっめながらゆっくりとものを考えるには読書が理想的手段であるのに,患者さんが利用できる図書室がないのはおかしい,という素朴な疑問から構想された当院の患者図書サービスは発足から8年が過ぎた.
経済的基盤や身近な手本,そして専門的知識1)など限られた条件での出発で,手探りによる準備であったが,次のような基本方針でとりかかった.①既存の栄養指導室壁面を借用して始める,②書籍は職員からの寄贈本で賄う,③一般患者用「オアシス文庫」と小児病棟用「エンジェル文庫」を別に設置する,④書籍の整理は図書委員が行い,カバー貼りは全職員が分担する,⑤蔵書維持のため,ひととおりの貸し出し手続きを行う,⑥主眼は入院患者とするが,利用者は制限しない.
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