特集 病院職員の高齢化対策
病院業務の多角化と職務を中心とした人事制度の確立
篠塚 功
1
1河北総合病院財団本部事務
pp.134-138
発行日 1997年2月1日
Published Date 1997/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902028
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はじめに
当財団では,既に65歳定年制を実施しているが,現在平均年齢31.8歳という組織であり,職員の高齢化という状況にはまだ至っていない.ただし,社会全体で少産少子化と高齢化が着実に進んでいることは事実であり,当財団においても職員の高齢化への準備は,長期的経営戦略としての大きな課題である.
高齢化の問題点として特に挙げられるのは,ポスト不足による職員活性化の低下および賃金と生産性とが乖離する職員の増加であろう.ポストが不足し,重要な役割を中堅の世代に与えることができなければ,人を育てていく土壌を作ることができず,意欲のある人材を開発していくことがができない.また,現在の病院の賃金制度は,職能資格制度を導入しているところもあるが,国家公務員準拠型がほとんどである.いずれにせよ,どちらの制度も年功序列型には変わりなく,年齢とともに賃金が上がる日本的人事制度である.同じ仕事を続けていても賃金が上がるのであれば,生産した対価よりも賃金のほうが高くなる状況が訪れることは当然のことである.万が一,自病院の支払い能力も考えないで,人事院勧告に沿って賃上げをしている病院があるとすれば,高齢化に伴い人件費倒産をする危険を十分にはらんでいる.
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