特集 第3次医療法改正と病院
医療法人制度の改正と今後の展開
太田 和宏
1
1名古屋記念病院
pp.30-34
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902006
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特別医療法人の創設の意義
特別医療法人の創設には三つの意義があると考える.第1は特別医療法人は紛れもなく公益法人であること,第2に出資持分のある医療法人が医業を存続させる決心をし,特別医療法人に組織変更をすれば,少なくとも出資持分の払戻しや相続時の課税で医療法人の存続が脅かされることはなくなること,第3に地域医療支援病院のみならず,医療・福祉両面の担い手となれる可能性が高いことである.
医療法人が設立されたのは昭和25年で,昭和23年に制定された医療法を一部改定することにより誕生した.その創設の理由は,医療事業は非営利性ということから,商法上の会社組織によって行われることは望ましくなく,しかしまた「積極的に公益を図るものではない」という点から,民法第34条の公益法人によることも適当でないので,特別の法人格を取得する道を与え,それによって「私的医療機関の施設の発展及び事業の単位永続性の維持を図る」と説明されていた.当時,日本の医療は私益であり,医療保険事業も現在のアメリカと同じように純粋な保険事業と考えられていたので,あながちその言葉は当時としては違和感を持って感じられなかったであろう.さらに,昭和32年に公益法人の行う医療保険事業が,収益事業として法人税が課せられることとなった(法人税法施行令第5条).
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