訪問看護ステーション 実践レポート—北から南から
病院のリストラと平行して開設—茨城県で第1号の認可を受けた「せいじゅん」
菱沼 くに
1
,
青柳 庸三
2,3
1せいじゅん
2医療法人社団青潤会
3青柳病院
pp.196-199
発行日 1995年2月1日
Published Date 1995/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901450
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長寿社会が叫ばれて久しい現今,核家族化が進み,一人暮らしの老人および老人夫婦のみで生活している例が増えている.水戸市近郊においては特に子弟が遠方に滞在している家族も著しく多くなっており,仕事の都合上,親を見舞ったり世話することも少なくなり,そのため親の生活は不規則,しかも不潔になり,著しい例では食べ物もろくに食べず,生活の喜びを失い酒ばかり飲んだり家中ゴミの山にしたりしている状況が数多くみられるようになってまいりました.このような老人が体調を崩して来院した時には,脱水症状で衰弱著しくなったり,入浴させた時に,ノミ,シラミの対策に大わらわになるなど,一般の人々が考えられないような状態もまま見受けられます.たとえ病院で適切な治療がなされようとも,退院後家庭において快適な生活が維持されなければ,その後も同じような繰り返しで,病院の治療というものは無いに等しいと思われます.
このような症例に対して,訪問看護婦が頻繁に巡回し,医師と密接な連携のもとに,老人の生活指導,療養指導を行う,あるいは家族同居の寝たきり老人においては,家族にこれらの指導,老人観察の要点の指導をするべきと考えます.さらに訪問看護婦として,老人本人に対して生活の喜びを感じさせる援助ができれば理想的なのですが,それは至難の技であると思われます.
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