特集 看護と介護—共存の道
在宅ケアでの看護と介護
関 寛之
1
Hiroyuki SEKI
1
1国立霞ヶ浦病院整形外科
pp.400-403
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900915
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高齢化社会をむかえ,医療対象は急性回復型から慢性終末型の疾病に,その比重が急激に変化しつつある.急性回復型の疾病ではキュアが効率的に行われれば,医療はその段階で完結し,ケアはキュアの補助的な役割りを果たすだけでも問題は少なかった.
しかし,回復が期待できない合併症や後遺症をかかえる高齢者,病期の進んだいわゆる難病,悪性腫瘍の末期など慢性終末型の疾病に対してはキュア主導の従来の医療システムでは適切な医療サービスを提供することができないことがある.このため病院での治療が終わると,残った障害に対するケアについての計画も立てずに在宅に返したりすることがおこり,これが医療に対する不信感を醸成する一因になっていることは否めない.また,医療サイドには,身体の障害で在宅生活が営めない者は入院すればなんとかしてくれるはずという,病院を都合のよいブラックボックスと考えている社会常識に対する抵抗感は大きい.
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