厚生行政を読む
超人手不足の時代
厚生行政研究会
pp.140-141
発行日 1991年2月1日
Published Date 1991/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900857
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はじめに
平成3年度国家予算案がまとまり,来年度のこの国は,およそ70兆円の予算規模で運営される予定である.このうち社会保障関係費は12兆円を占めるが,たった12兆円(国民1人当たり10万円)でこの国の社会保障が成り立つはずはない,医療保険制度や年金保険制度等の諸々の制度を併せ,社会保障のための経費はおよそ50兆円といったところか.
話を医療給付費に絞ると,その規模はおよそ20兆円(国民所得の6%弱)となるであろう.20兆円という数字は生活実感とはかけ離れた数字ではあるが,所詮これはNTTの総売上高の3倍強でしかない.NTT傘下に従業する人口と医療従事者数とを比較すれば,1人当たりの予算規模は比較にならないくらい異なっている.1人当たりの予算規模の違いは,一般論として,平均賃金の差となって表れてくるものであり,NTTをはじめ大企業の給与条件が医療従事者の給与条件よりはるかに恵まれているであろうことは想像に難くない.
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