特集 「高機能病院」の目指す道
「高機能病院」と患者の流れ
大道 久
1
Hisashi OHMICHI
1
1日本大学医学部病院管理学
pp.750-754
発行日 1990年9月1日
Published Date 1990/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900727
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はじめに
患者のいわゆる大病院志向が指摘されて久しい.事実,東京都内の大学病院には,1日4千人を越える外来患者が受診することが珍しくない場合があるという.これ程でないにしても,地域の基幹的病院に,より多くの患者が殺到する傾向は年々強くなっており,診療所の開業医師とこれらの病院との関係は,相互の機能の連係と分担が叫ばれながら,実際の患者の流れは一向に変っていないように見える.
一方,制度としての医療施設の体系的区分の方向付けは,医療法の改正法案として,その概略が明らかになってきている.それによれば,従来の病院を,高次の機能を担うべき特定機能病院と一般病院に区分し,さらに長期療養を目的とした療養型の病床群を設定するという.高齢化による医療ニーズの構造的な変化を受けた療養型病床については,一応の必然性を認め得るものの,病院の高機能部分を制度的に区分することの意味合いについては,十分な論議が必要であろう.
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