特集 在宅ケアと病院
在宅ケアにおける病院の役割
三宅 貴夫
1
Yoshio MIYAKE
1
1財団法人太田綜合病院附属太田記念病院内科
pp.292-296
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900610
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在宅ケアについて
在宅ケアとは
昨今,医療の分野でも福祉の分野でも「在宅ケア」が盛んに語られている・医療保険行政においても,診療報酬に「在宅療養料」を新たに設けて「在宅医療」を推進する政策がとられ,老人福祉行政においても,ホームヘルパーを増員し,老人ホームでのデイサービス事業およびショートステイを大幅に拡充して「在宅福祉」を推進しようとしている.このような国の政策を背景に,これまでにない勢いで,自治体,医療機関,老人福祉施設が「在宅医療」や「在宅福祉」に取り組むようになっている.「在宅医療」も「在宅福祉」も共に「在宅ケア」の範疇に含まれるものであろうが,ここで「在宅ケア」とは何かを改めて問い直しておきたい.
まず「在宅ケア」の「在宅」であるが,病院や福祉施設に対峙する生活空間と捉えられ,多くの場合,ケアを受ける患者または障害者の「自宅」を意味している.さらにわが国では,そうした患者らを日常的に介護する家族が同居していることが「在宅」の前提条件となっていることが多い.「一人暮らし老人」という例外はあるが,「在宅」とは「介護家族が同居している患者らの居住する家」と捉えてよかろう.
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