グラフ
地域医療の確立に向けて—田野町国民健康保険病院
pp.283-288
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900607
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「国保の直診施設ですから,住民の健康を守ることが第一です.そのためには他の先駆的な国保病院と同じように,診断,治療のみならず町民の疾病の予防のための保健活動からリハビリテーションまで積極的に行わなければなりません.」と病院医療の基本的姿勢を語る谷口院長は田野町国民健康保険病院の9代目の院長だ.
田野町国保病院は昭和23年に田野村直営診療所として開設された.昭和28年には施設の拡充を図り一般病床30床,結核病床12床の国保病院として再出発した.しかし,医師の充足がままならず,院長も7代目までは1〜2年で交代,長年赤字経営が続き町の財政をも圧迫,昭和45年には病院存続か廃止かの瀬戸際に立たされ,田全体が大揺れに揺れた.谷口院長はその渦中の昭和47年に「幽霊屋敷のようだった」本院に赴任した.建物はもちろん医療機器も昭和20〜30年代のもので,ほとんど更新されていなかったという.「手術場の無影灯も固定式で,手術台を移動して手術をするような状況」だつたという.
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