特集 第3次医療法改正はどうなるか
病院像の変化—求められる新たな病院の姿
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.1061-1064
発行日 1993年12月1日
Published Date 1993/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900517
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自由開業による病院の今後の姿
特定機能病院の承認を申請する大学病院が出始め,療養型病床群の認可も数十施設になるというものの,病院を取り巻く閉塞状況の打開の兆しは認められない.看護要員の確保問題がやや好転し,看護の配置基準の見直しも確実視されていることは悪くない材料であるが,肝心の医療費改定は,その財源難から大きな期待はできないという悲観的な見通しも強い.病院は,まずこの困難な経営問題に直面して,今後どのように「変化」すべきかの検討を迫られていると言ってよいだろう.
改めて述べるまでもなく,わが国の病院のかなりの部分が自由開業医制の下で成り立った経緯がある.医師たる身分を得た者が,診療科を問わずいずれの場所でも開業が可能であるとしたこの制度は,医師に医業を行うことについて極めて強力な動機付けを与えてきた.そして,皆保険が達成された後の医療の普及・拡大の時期に,診療所から病床を整備して病院へと発展する事例は少なくなかったことは,わが国の1万の病院のうち,概ね半数が100床未満であり,その多くが私的医療機関であることに端的に示されている.
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