厚生行政展望
「診療報酬のあり方」日医報告書(下)
厚生行政研究会
pp.730-731
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900440
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患者負担について
日本医師会の報告書は,患者負担のあり方について慎重な表現をしている.患者負担の拡大は,患者の医療機関受療を抑制する恐れがあるからである.しかし,医師会としても医療費財源の確保の観点からある程度の患者負担の拡大はやむを得ないと考えているようである.
報告書では,患者負担の拡大が認められる場合として,アメニティなどの快適さに関するものと選択を可能にするものをあげている.具体的には,給食費の一部負担について,食事の質に関して患者の選択の余地を高める場合に限って認める方向を打ち出している.しかし,現在,厚生省が検討しているものは,給食費の材料部分の患者負担であり,1日当たり1,000円から1,200円程度の患者負担が増加するのではないかと指摘されている.給食の材料費は600円から900円程度であり,それほど高くないのではと指摘される方がいると思われるが,これらの材料費・光熱費等は病院の収入になるので,自由診療と同様の税が適用されることになるのである.その結果,税の部分も患者に負担してもらうことになる.この点については一部に不合理を指摘する声もあり,まだまだ詰めが不十分だと考えられる.
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