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■ORCAプロジェクト
これまで,各種ビジネス業界におけるIT化の深耕は,顧客情報を管理するデータベース化とともに進んできた.医療機関においては,レセプトを作成するためのコンピュータ(以下,レセコン)へ患者氏名・連絡先などのデータベースの根幹となるデータを必須条件として入力している.このレセコンを中心として,さらにデータベース機およびネットワーク端末化することでIT化を進めることが得策であり,今後は,病診・診診・介護との連携,予約・受付・管理機能,保険確認,電子請求,電子決済,院内他の機器との接続等々,医療現場のあらゆる場面で押し寄せてくるIT化の波に,レセプトを作成するために入力したデータを可能な限り活用して対応するべきであろう.
このような背景の下,日本医師会(以下,日医)では2001年に「日医IT化宣言」を発し,ORCAプロジェクトを日本医師会総合政策研究機構(以下,日医総研)で立ち上げ,公開ソフトウェア(オープンソース)方式のレセコン用ソフト「日医標準レセプトソフト(以下,日レセ)」を,2002年より開発・公開してきた.ORCAとは,Online Receipt Computer Advantage(進化型オンラインレセプトコンピュータ)の略であり,日医による日医会員のためのレセコンソフトを指向したものである.日医からの提供は,データベース機能およびネットワーク化へ対応しているレセコンソフトのみである.PCやプリンタなどの機器の調達を含めた導入サポートおよび保守・メンテナンスは,ORCA販売をビジネスとする「日医IT認定サポート事業所」を中心に行われており,日医としては推薦業者を選定する認定制度を運営している.2002年当初はまだ生まれたての状態で使い勝手に難があるレベルであったが,「要望」という指摘受付制度で常に会員ユーザの様々な声を反映し,プログラムの修正,機能の追加,地域の医療費助成制度への対応,など進化が続けられてきた.その結果,開発・サポートサイドともに短期間のうちに能力アップを実現し,現在ではメーカー製のレセコンに引けをとらない仕様となっている.
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