特集 地域づくりのために病院に何ができるか
高齢者向け住宅と生活サービスの接近の姿
五代 正哉
1
1清水建設(株)ヒューマンケア事業開発室
pp.56-62
発行日 1993年1月1日
Published Date 1993/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900269
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国民4人に1人が高齢者という超高齢社会を目前にひかえ,その準備が着々と進められている.特に平成元年の「高齢者保健福祉推進十か年戦略(通称ゴールドプラン)」の策定を皮切りに老人保健法,老人福祉法が改正され,その緊急性の高さから主として要介護高齢者を対象とする,老人保健施設,特別養護老人ホームなどの施設福祉や各種在宅福祉サービスの充実が急速に進展してきたことは周知である.しかしこれら要介護高齢者への施策に加え,高齢者の大半を占める健常な高齢者の生活の拠点となり,あくまでも自立した生活を支え続ける高齢者向け住宅の整備も併せて大切である.厚生省の予測によれば1985年に約928万世帯であった65歳以上の高齢者のいる世帯は,2015年には約1.9倍の約1,729万世帯のピークに達する.さらに注目すべきは核家族化の進展と相まって高齢者のみから構成される単身世帯,夫婦のみの世帯の合計が286万世帯から815万世帯と約2.8倍もの増加をみせることにあり,自立生活を支える高齢者の住まいの整備の重要性,緊急性が窺われる.
図は厚生省,建設省の施策に基づき整備が進められている各種高齢者向け住宅,施設の体系を示している.今まで高齢者向け住宅は養護老人ホームや軽費老人ホームなど主として低所得者層を対象とした福祉行政の中で展開されてきた.
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