看護管理の目・4
看護管理者に求められる経済感覚
川嶋 みどり
pp.370-371
発行日 1992年4月1日
Published Date 1992/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900084
- 有料閲覧
- 文献概要
マクロな視点からの問題提起を
「あなたの病院の1ベッド当りの収入は1か月どのくらい?」「外来患者1人1日当りの点数は?」などと質問しても,答えて下さる看護管理者は稀である.それは,企業秘密だから話せないというのではなく,本当に御存じない方が多いのである.また,「レセプトって何ですか?そんなの見たことがないわ」といわれる婦長さんもおられた.ふつうの看護婦が,基本看護料や基準看護料について,全く無関心であっても不思議ではない.看護婦の世界では古くから「金銭のことを口に出すのは恥」とされてきた歴史もある.
しかし,看護問題が大きくクローズアップされてきている今,精神主義的なあるべき論とは別れを告げ,経済的基盤に立脚した問題解決方法を世に問うことは急務であると思う.看護職員確保のための立法措置も現実のものとなってきた.もちろん法律ですべてが解決するとは思わない.だが少なくとも,労働条件の改善や給与の引き上げを,各施設の努力や労使間の交渉に待つのではなく,安定した労働条件を長期的に築いていくための法的な裏づけという意味で評価できるのではないだろうか.期待して見守りたいと思う.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.