連載 臨床医が病院長になった日・11
何も知らない大学教授が病院長になってしまった日
小川 修
1,2
1大津赤十字病院
2京都大学
pp.906-907
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212266
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■全ての始まり
新型コロナウイルス感染症発生から半年が経過し,第2波によって京都大学医学部も附属病院も大混乱となっていた2020年夏のある日,医学生時代の同級生で附属病院の病院長をしていたM教授から呼び出しがありました.「先生,来年の春から大津日赤に院長として着任してくれへん? 泌尿器科学会総会のお世話も終わったし,もうやり残したこともないやろ」と打診を受けました.それが全ての始まりでした.当時,私は大学教授(専門は泌尿器科学)としての定年まで2年あったので,ちょっと戸惑いましたが,恩師でもある先代の教授からは「もし次の役職で良いところがあったら,定年にこだわらず若いうちにチャレンジした方がいいよ」と助言を受けていました.また,教授職も20年以上務めさせてもらったので幾分マンネリ化していて,次を担う若い世代に老害となって迷惑をかけるのもいやでしたので「喜んで行かせてもらいます」と即答しました.唯一の問題は家内の説得でしたが,大津赤十字病院(672床)は自宅から通勤可能なので,わりとすんなり受け入れてくれました.
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