連載 アーキテクチャー×マネジメント・114
奈良県総合医療センター
山口 健太郎
1
1近畿大学建築学部
pp.514-519
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212187
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■はじめに
奈良県総合医療センターは,奈良県北部の高度急性期医療を担う中核病院である(図1).奈良県は寺社や史跡が多く,観光客の多い県であるが,その地理的特徴は意外と知られていない.奈良県は南北に長い楕円形をしており,県庁所在地である奈良市は,県北部の京都府に隣接する(図2).同じく北部に位置する生駒市や大和郡山市は大阪や京都へのベッドタウンとして人口が多く,奈良県は北部に人口が集中している.この人口集中エリアである奈良保健医療圏,東和保健医療圏の三次救急を担うのが奈良県総合医療センターである.
また,古都として有名な明日香村や橿原市は奈良県の北中部にあり,ここには奈良県唯一の医学部を有する奈良県立医科大学の附属病院がある.一方,南部は中山間地域で奈良県の南半分以上を占める南和保健医療圏には高度急性期医療を担う病院はなく,ドクターヘリなどを活用して中部や北部の病院に搬送する仕組みとなっている.奈良県総合医療センターにもヘリポートが設置されており,月5〜6回程度の頻度でドクターヘリが運用されている.
このように奈良県総合医療センターには,奈良県の人口集中地域である北部地域および南部や東部の中山間地域に対する高度急性期医療の提供という役割が求められている.
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