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■1 破産手続の概要
破産手続とは,支払不能★5または債務超過にある債務者の財産などを清算する手続きです(破産法第1条及び第2条第1項).債務者がその債務の全額を支払うことができなくなった場合に,債務者の財産を売却するなどして金銭に替え,これを債権者に公平に分配して清算することまでが破産手続であり,清算後に残った債務を支払う責任は残るため,債務者がこれを免れるためには,免責手続において免責許可決定(破産法第248条,第252条)を受ける必要があります.もっとも,実際には破産手続が終了すれば特別な事情がない限り★6免責許可決定がなされる運用となっているため,破産=債務の免責という理解もあながち間違いではありません.
破産手続は,裁判所に申立てをして裁判所が破産手続開始決定をすることにより始まりますが,債務者の財産を換価して清算する手続きですので,破産管財人を選任して換価作業を行い,その金銭を原資として配当を行うのが原則的な形になります(破産手続が始まると,各債権者は基本的に手続き外で個別に債権を行使することができなくなり,破産手続を通じて配当として弁済を受けることになります).他方で,債務者にめぼしい財産がなく,換価・配当ができない場合には,例外的に,破産手続開始決定と同時に破産手続の廃止決定を行い,破産手続を終了させることになります(破産法第216条).これを同時廃止といいますが,例外といいつつも,個人事業主ではない個人の破産の場合(おそらく,患者が医療費を滞納して破産する場合の多くがこの場合に含まれます),ほとんどが同時廃止により処理されています.また,破産手続を開始したものの破産管財人による調査の結果,配当実施に至らないことが判明した場合にも破産手続を廃止して手続きを終了することになりますが,これを異時廃止といいます(破産法第217条).
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