- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
あけぼの薬局は1996年4月に茨城県西部,常総市に一店舗目を開局し,今年28年目を迎えた.現在は隣接する3市に9店舗の薬局を構えて業務にあたっている.開局当初より地域医療に積極的に関わっていきたいという思いで,在宅医療(在宅患者訪問薬剤管理指導業務)をいち早く開始した.現在は全ての店舗で,寝たきり高齢者はもとより,小児在宅医療,がん緩和医療,看取りの患者まで関わっている.
薬局の特徴としては,がん緩和医療での疼痛緩和には欠かすことのできない麻薬も全ての店舗に数多く備蓄し,麻薬の経口が困難になった患者に対しては,常備しているシリンジポンプを医療機関に貸し出し,医師と共に投与設計をして,注射用麻薬持続皮下注の調製とその管理を行っている.また4店舗には早い時期からクリーンルーム,クリーンベンチを設置しHPN(在宅中心静脈栄養法)の無菌調製も手掛け,調製した高カロリー輸液を患者宅に届け,服薬管理指導等も行っている.
2022年1年間のあけぼの薬局グループ9店舗の在宅業務実績は,在宅患者数664人で,404人(60.8%)が居宅(個人宅)訪問であった.がん患者は344人(51.8%)であり,そのうちの240人(69.8%)の患者が麻薬を使用した.麻薬の内服が困難になった患者やパッチ製剤で疼痛コントロールがつかず注射用麻薬持続皮下注投与を必要とした患者は68人である.がん患者の在宅訪問終了は,再入院か,死亡に分けられるが,居宅での死亡(いわゆる看取り)までに至った患者は,在宅訪問の終了した患者275人のうち238人で86.5%にのぼる.
また,注射用持続皮下注の調製とは別に,クリーンルームクリーンベンチを使用して高カロリー輸液を無菌調製し在宅訪問した患者は47人である(表1).
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.