特集 社会保障制度の未来から読む病院経営
他国の状況
ドイツの社会保障制度と病院経営—医療の営利主義化によるリスク
吉田 恵子
キーワード:
ドイツ式包括報酬制度
,
G-DRG
,
病院の営利主義
,
看護職員の人件費
Keyword:
ドイツ式包括報酬制度
,
G-DRG
,
病院の営利主義
,
看護職員の人件費
pp.59-62
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211847
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■はじめに
独居の友人が州立大学病院で子宮筋腫核出術を受けた.術後,術創が炎症.3日ほどで退院することになっていたが5日間に延長.それでも熱が残り気分も悪かった.担当医にさらに延長を頼むが「(一回きりの)血液検査の結果も熱も正常域.そういう仕組みなので一度退院し,悪化したら来て」と自宅に戻された.案の定熱は上がり腹痛のため動けなくなり,退院3日後に炎症の治療のために再び5日間入院した.入院中は汗を多量にかいたがリネンの交換を看護職員に頼むと「数日で退院するでしょ.忙しいから自分で換えて」とリネンを渡された—.
このような扱いは,現行のドイツ式包括報酬制度(G-DRG)の下では珍しくはない.導入当初からG-DRGは「出血入院」「病院の営利主義」の元凶とマスコミ・世論に叩かれ,修正されてきている.本稿では報酬制度との関わりで進んだドイツの病院および外来医療の営利主義化と,その弊害を概観する.
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