連載 これからの病院経営の考え方・4
感染対策のための施設基準と病棟改修の基本
小松本 悟
1
1足利赤十字病院
pp.808-812
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211518
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本連載第2回で,日本病院会の調査では2020年下半期に医業収益収支が赤字ながら改善傾向にあり,外来患者数も徐々に回復傾向にある病院群があることを述べた.その病院群を検討すると,院内の動線を分割し,患者動線とスタッフ動線を分離し,ゾーニング環境の整備,多床室の個室化,簡易陰圧装置の設置などを行った結果,新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)患者とその他の患者を分けた診療体制が確立し,医業収益が増加したものと思われる.国は医療機関や介護施設等における感染拡大防止対策に係る支援として,新型コロナウイルス感染を防止する観点から,①多床室の個室化による改修費,②簡易陰圧装置の設置に要する費用,③感染拡大防止のためのゾーニング環境等の整備に要する費用などを交付金として補助することとした.
一方,感染制御の面から設計された病院施設は,職員が正しく利用してこそ成果が上がるものである.われわれ医療機関は常日頃から職員の感染管理に関する教育や研修を欠かすことはできない.特に今回の新型コロナウイルス感染を防止するための施設整備については,施設設備に関する補助金により施設規則を順守した上で,少なくない投資を行うことになるので,ソフトとハードの両面から考えた施設環境づくりをしなくてはならない.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.