特集 次世代の病院経営者をどう育てるか
病院経営者をどのように育てるか
公立病院の経営管理者をどのように育てるか
山口 武兼
1
1公益財団法人東京都保健医療公社
キーワード:
病院の理念
,
公的使命感
,
経営
Keyword:
病院の理念
,
公的使命感
,
経営
pp.780-783
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211511
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■コロナ禍で発揮されたリーダーシップ
2020年1月29日,新型コロナウイルス(以下,コロナ)が猛威を振るう中国武漢市からの帰国者を東京都保健医療公社荏原病院・豊島病院で受け入れたとき,1年以上も新型コロナへの対応に追われるとは全く予想できなかった.そして,東京都内での感染蔓延によって,感染症指定病院だけでは対応できず,他の4公社病院の一般病棟での受け入れが必要になることも予想はできなかった.2009年に新型インフルエンザ対応で感染症指定医療機関である豊島病院の副院長として感染症科医長とともに対応した当時の,全病院を感染症対応になった時,患者の対応は医長に任せ,ロジスティクスを自分が担って対応しようと考えていたことを思い出していた.武漢やその後のイタリアでの感染状況では,医療者の死亡が多く伝えられており,対応を迫られる医師・看護師はそれなりの覚悟を持つ必要があった.公的な病院とはいえ,全員がその覚悟をもって入職しているわけではない.職員が従うのは,理事長の言うことではない.直属の院長の言うことに従う.彼が覚悟を決め,信念を持ち,使命感を持って,新型コロナに立ち向かうといえば,職員は従う.あらためて,病院としての理念の必要性,院長のリーダーシップの重要性を肌身に感じたところであった.
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