連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・2
—対応困難患者への対応(2)—医師・看護師への暴言・暴力への対応
小林 京子
1
,
高坂 佳郁子
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.538-542
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211455
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1 暴言やクレームの背景事情・理由の確認と医療機関の見解の説明
患者が医療機関の職員に対して暴言を吐いたりクレームを述べるケースには,(a)医療機関には何の落ち度もないのに言い掛かりをつけている場合と,(b)不適切な診療行為や対応があり患者の言い分にはそれなりの理由がある場合★1があります.
いずれにせよ,まずは患者のクレームなどの背景事情や理由を確認し,(a)のケースでは,医療機関としては適切に対応しており,クレームを受ける理由がないことを明確に説明するべきでしょう.冒頭のケースでは,症状が改善しないことを患者が不満に思っていると医療機関側において「推測」していますが,患者の思いに真摯に耳を傾けるよう心掛けてください.薬を塗っても直ちに症状が改善しないなど診療内容に関わることであれば,時間をとって医師から丁寧に説明することで患者の理解や納得を得られることもあります.医師にとってみれば,「当たり前のこと」であり,手短に専門的な説明だけを行ってしまうことがあるかもしれませんが,そのような対応が患者に不満を与えることになりかねませんので,患者の理解力に応じて分かりやすい説明を心掛けることが肝要です.
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