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■はじめに
全国自治体病院協議会(以下,当協議会)は867の正会員と239の準会員(診療所)からなり,全国の病院の約11%,病床数の約14%を占めている.会員の約85%は人口30万人未満の市町村に存在し,約65%は10万人未満に,約30%が3万人未満の市町村に所在している.
自治体病院に期待される主な役割は,①山間へき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供,②救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供,③地域の民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供,④研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点機能,とされている.今回の新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)は,上記②,③に相当し,公立病院の使命の一つに該当すると思われる.自治体病院は,特定感染症指定医療機関4病院中2病院(50%),第1種感染症指定医療機関55病院中32病院(58%),第2種感染症指定医療機関537病院中266病院(50%)を占め,感染症対策にも中心的役割を発揮することが期待されている.
当協議会では,コロナパンデミック第1波に際して会員病院がどのように対応し,今後もどう立ち向かうかをアンケート調査し,その結果を報告した1〜4).また,厚生労働省(以下,厚労省)からは新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)データの解析結果が公表され,医療計画に6事業目として「新興感染症等の感染拡大時における医療」の項目が追記されることになって,現在多くの検討が開始されようとしている(表1).本稿では,これらを踏まえてwithコロナ時代,さらには未知の新興感染症に向けての公立病院のあり方を展望したい.もちろんコロナに対しては,ワクチンが実用に供されるようになると,全ての医療機関の役割が現状と大きく変わると考えられるが,本稿ではその点には触れないことをお断りしておく.
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