特集 機能転換が拓く病院の未来
巻頭言
山田 隆司
1
1台東区立台東病院
pp.463
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210726
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進みゆく超高齢社会を背景に,限られた医療資源の中での地域包括ケアの実現に向けて,地域医療構想に基づく病院の機能転換が進められている.地域の各病院には,二次医療圏の中での自院の果たすべき役割分担を見据え,地域内のニーズに的確に応え得る変革が求められている.近視眼的な診療報酬制度の誘導に惑わされず,先を見据えた施設の役割を検討する必要に迫られている.本特集では既に機能転換を果たしてきた病院の実例から,それぞれの経緯や課題を通して,今後の方向性を探りたい.
今村論文では,高齢化に伴う疾病構造の変化に即した病院機能転換の必要性およびその後の人口減少を見据えた対策を講じる必要性が説かれている.加納論文ではこれまで民間病院が果たしてきた役割を振り返り,今後それぞれの地域内で公的病院との協議を踏まえ自院の役割を明確にしていくことの重要性が説かれている.武久論文では療養病床に関する国の医療制度の変遷を踏まえ,今後は広域急性期病院と地域多機能型病院に収束するという論説が提示されている.いずれもこれまでの歴史的経緯を踏まえた現状認識が土台となっており,今後の方向性に対して説得力がある内容となっている.
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