特集 病院の医師確保戦略
巻頭言
山田 隆司
1
1台東区立台東病院
pp.101
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102194
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病院にとって医師の確保はその存亡にも関わりかねない最重要課題の1つである.今や必要定足数ギリギリの水準で地域を支える病院も珍しくなく,そんな現場の医師の業務負担は(そんな現場でなくとも)労働基準法の水準をはるかに超えていることはもはや自明の理である.「勤務医を救え」「勤務医の労働条件を整えろ」と声高に言うのは簡単だし,退職する際の理由として挙げるのは容易いが,病院管理者にとっても最も頭を悩ます問題であり,病院関係者がそろって知恵を出し,皆で乗り越える努力が今必要とされている.
しかし,病院を取り巻く環境は決して生易しいものではない.経営環境も厳しく,そもそも安全で質の高い医療を提供し,さらに医師確保のための経費を診療収入だけで捻出する余裕はまったくないと言っても過言ではない.地域の中小病院は各専門医を用意できるだけの体制が整っておらず,専門医や研修医にとって魅力の乏しい場所となっている.問題は地域病院に集約しているが,事は病院関係者だけでは解決できない,むしろ地域の医療全体が抱える問題でもある.
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