特集 新専門医制度─どうなる,病院?
巻頭言
山田 隆司
1
1台東区立台東病院
pp.583
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210292
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新専門医制度の行方が混迷を深めている.
2013年4月「専門医の在り方に関する検討会」報告書において,これまでの専門医制度が各学会で独自に運用され,認定基準に統一性がなく国民にとって分かりにくいという反省から,新たな専門医に関する仕組みが必要であるという認識が示された.そのもとに2014年5月,国民に良質な医療が提供されることを目的に,専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う,中立的な第三者機関として日本専門医機構が設立された.そこでは国民のための視点から,これまでの各学会主導の専門医制度をどのように統一性をもって変えるのかという議論が行われるはずであった.単に質の担保にとどまらず,国民にとっての利益を優先する改革が期待されていたのである.専門職としての医師には,単に高度な知識や技能を習得する能力を持つことだけではなく,それによる社会貢献が期待されているからこそ,活動の自主性や裁量権が社会から委ねられている.そういったプロフェッショナルオートノミーを発揮することが機構の最優先のミッションでもあった.
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