特集 病院食再考
巻頭言
山田 隆司
1
1台東区立台東病院
pp.345
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102770
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病院において患者に対する食事提供は今も昔も大きな課題の一つである.いかに疾病治療にとって有効かつ安全,安心な食事を,個々の患者にとって満足のいくよう限られた時間,環境の中で提供するかが求められている.しかし個々の患者の食に対する嗜好はそもそも不適切なものを含めて千差万別で,およそ万人が満足する食事提供はあり得ないといっても過言ではない.
現代人の食は病人に限らず健康という観点から不適切なものが日常的に目に付く.簡便で単一のインスタント食品やファストフードに依存する割合は高くなる一方だ.また健康に関する情報も今やインターネット上で溢れているものの,その質については保証されているとは言い難い.多くの人々は○○ダイエット,健康食品という名の下に多くは歪んだ健康観を抱いてしまっている.バランスを欠いた食習慣の一つの結果が生活習慣病といえるかもしれないが,そんな背景をもつ患者に対して,病院の限られた時間内での食事提供で,患者の行動変容,さらには個々の満足まで求めようとするのは所詮無理といってもよいだろう.
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