連載 事例から探る地域医療再生のカギ・10
東近江市の国公立3病院の医療再生
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部マネジメント総合学科
pp.545-550
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210282
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■何が問題だったのか
①急激な医師数減少に苦しむ国公立3病院
滋賀県東近江市は人口約12万人,額田王と大海人皇子の相聞歌の舞台となった蒲生野など多くの名勝があり,中世以降交通の要衝の地として栄えてきた.近世からは近江商人が活躍し,多くの企業家を生んだ土地である.2005年2月に1市4町(八日市市・永源寺町・五個荘町・愛東町・湖東町)が合併して「東近江市」が誕生し,さらに2006年1月に東近江市と能登川町および蒲生町1市2町の合併が行われた.
東近江市には,国公立病院として,市の中心地である旧八日市に立地する国立病院機構滋賀病院(220床),東海道本線・能登川駅近くの交通利便地に立地する市立能登川病院(120床),郊外の蒲生地域の医療を支えてきた市立蒲生病院(120床)の3つの病院があった.しかし,3つの国公立病院は,2004年の新医師臨床研修制度導入以降,大学医局の医師引き揚げにあい,2003年には3病院合計で62名在籍した常勤医師数が2010年には24名(61%減)にまで落ち込む.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.