扉
「夢物語」に終わらせたくない
永井 肇
1
1名古屋市立大学脳神経外科
pp.797-798
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201544
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最近のmedical electronicsの進歩には目を見張るものがある.身体,他の部分の臓器では診断に威力を発揮する視診,触診,聴診のいずれもが,固い頭蓋骨にはばまれて全く通用しないとされてきた頭蓋内疾患に,CT scanという神通力をもった診断機器が現れて,今や密室の中はすっかりお見通しとなってしまった.最近ではさらにpositron emission tomography,核磁気共鳴など新しい器械も使用されはじめ,頭蓋内圧疾患に対する診断技術はここ数年の間に飛躍的に進歩した.
生体に侵襲を与えないで,正確な情報を提供してくれるこれらの診断機器に対しては,"神経学的診断を下すのに,無闇やたらと機械的,技術的,検査室的検査を行い,それらを重視しすぎるという悲しむべき風潮が盛んになりつつある"と嘆いた「神経学的検査法」の著者Wartenbergも一目をおかざるを得ないのではなかろうか.
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