発行日 1949年7月1日
Published Date 1949/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210128
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私は如何なる廻り合せであったのか今迄に色々な病院に關係を持ったのであった。遠い以前に佐藤先生の仰に従い先生の後を受けて私立明治病院へ日曜毎に治療の手助をして永い間病院經營の有様を觀察した。其後東京帝國大學附屬分院々長として六年間,次で同附屬醫院々長として九年開院務に携わった。大學退職後聖路加病院の治療に關係して十年間米國流の病院管理經營の實際に接することが出来た。而して終戦後海陸軍病院が国立病院に改められた際に關係して短年月ではあったが多数の國立病院及國立療養所の管理經營問題に就て檢討する機曾に接した。尚現に薮十年来關係のある私立大尽附屬の病院の管理に關與して居るのであるが病院の管理經營は誠に複雜した困難な仕事であって社會の變遷に件って一刻の油斷もなく研究的態度を持して改善に努めなければならぬことをしみじみと考えさせられるのである。
醫院病院の本来の使命は云うまでもなく療病にあるのであるから病院の管理經營に當っては万事病者本位に運營されなければならない。即ち能う限り療病の達成に役立つよう仕向けらるべきであって之が障碍となる點は可及的除去さるべきであるが,實際問題としてはこの事が理想的に行われることは甚だ困難なのである。
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