連載 アーキテクチャー×マネジメント・16
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 大阪府済生会中津病院
小菅 瑠香
1
1帝塚山大学現代生活学部居住空間デザイン学科
pp.248-252
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210071
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■開院百年の増改築の歴史
大阪市北区,梅田に近い都心部に建つ大阪府済生会中津病院は,その特徴的な外観でもよく知られている(図1).背後にそびえる病棟の高層建物群に守られるように,玄関を構えるレトロで優雅なルネサンス様式の二階建ては,地域に根差し,親しまれてきた病院の顔と呼ぶにふさわしい.その中央には時計台ではなく,十字のついた小さな灯台が載っている.これは1999年からの整備計画で解体した旧本館の正面ファサードを,新病院(北棟)の玄関建物として復元したものである.
さて,大阪府済生会中津病院の元祖は1916年,北区中崎町に「済生会大阪府病院」として開院した(75床).今からちょうど百年前のことである.患者の増加によって手狭となり,現在の敷地に移ったのは1935年,篤志家の嘉門長蔵翁による私財100万円の寄付を受けてのことであった.当時の貨幣価値であるから,よほどの額と思われる.
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